その昔、と言っても1960‐70年頃なのだが、ピアニストというとバックハウスとケンプが専ら独墺系では巨匠と言われており、かたや英国DECCAの、一方は独グラモフォンの看板奏者であり、彼らのベートーヴェンのソナタ、コンチェルトなどは多くの人たちに聴かれていた。
ただ、どちらというとバックハウスのほうがケンプよりも若干技巧が上、そして幾分かはバックハウスが深い音楽を聞かせる、ということであくまでも私感ではあるが我が国ではキングレコードのLONDON盤がポリドールのグラモフォン盤を人気度で凌駕していたように思う。
私の最も愛すモーツァルトについては、バックハウスの10番、11番のソナタや27番のコンチェルトをよく聴いた記憶がある。だが、ケンプについては彼のモーツァルトを全く聴いていない。
先日、ウィルヘルム・ケンプの弾くピアノコンチェルトのセット(DGG)を入手しその素晴らしさに驚いた。
1960年の23番、24番(フェルディナント・ライトナー指揮バンベルク響)、1962年録音の8番(ライトナー指揮ベルリンフィル)、1977年録音の21番、22番(ベルンハルト・クレー指揮バイエルン放響)。
このような名曲名演が、高音質かつ廉価で聴けるとは全く嬉しい今日この頃である。
ウィルヘルム・バックハウスのモーツァルトもCDで聴いたならば、やはり素晴らしいのだろうか。
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