リチャード・フライシャー監督。チャールトン・へストンとエドワード・G・ロビンソンが出演している。1973年のMGMの作品である。私が初めてこの2022年のニューヨークを舞台としたSF映画を見た時、原作の発想は面白いのであるが映画自体はあまり面白いとは思わなかった。高校生の時でSF好きの友人に誘われて映画を観に行った。その友人は「予想通りの展開ではあったが面白かった」ということを言っていたのを記憶している。まあいつもその友人とは色々な場面で意見を異にしていたのではあるが。
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かなり深刻な環境汚染と人口増加が進んだために食料問題が深刻化し、一般の人々は肉や野菜を食べるどころか見ることも出来ず・・・。ソイレント社が製造する「ソイレント・グリーン」なる合成食品を購入し食していたのである。ところがその食品製造には政府が大きく関わっていて、しかしその製造工程などは完全に秘密となっていた。ところがある日事件が起こる。そして刑事であるチャールトンヘストンが捜査を開始する。
ヘストンの慕う友人のエドワード・G・ロビンソンが、自らの希望で安楽死をする施設で、もはや見る事のできない、過去の美しい地球の大自然の景色映像を見ながら自ら安楽死する時に流れる音楽のひとつがベートーヴェンの田園の第一楽章。(ほかにペールギュント「朝」とかも流れる。)
そしてこの田園のテンポが速い。すこぶる活気がある演奏で、映画が終わってからもそのメロデイが私の脳裡にこびりついて離れなかったのである。当時私が所有していたレコードのアンドレ・クリュイタンス指揮・ベルリンフィルとは全然違う音楽。その頃ほかに、ハンス・シュミット・イッセルシュテットやジョージ・セルとか、カラヤンの演奏などは聴いたことはあった。カラヤン以外はどれも比較的ゆっくりした演奏で、しかし、どれもソイレント・グリ-ンの田園とは違っていた。多分サウンドトラック用に吹き込んだものだと思うが。最近になってDVDを見たが、だいぶ粗い演奏で当時の印象とは違うのだが。
映画を観てしばらくして、その映画を最初に観た時の印象を、あくまで印象であるが、私に彷彿させてくれる演奏を見つけることとなったのである。ウィリアム・スタインバーグがピッツバーグ交響楽団を振ったベートーヴェンの交響曲全集のうちの一枚。アメリカの「COMMAND」という今は無いレーベルが35mmマグネティックテープに録音した優秀録音。その米国製のLPを入手した時は嬉しかった。輝かしく生気みなぎる演奏。
COMMANDレーベルは今は無く、CD化されたことも恐らく無いはずである。同じ演奏者による田園はキャピトルレーベル(EMI)の録音もあるが、それは別物。原盤はどうしちゃったんだろうか。
思い切りの良い私は、とうの昔にレコードを処分してしまったので、もうその演奏は死ぬまで聴けないかもしれない。
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