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2010年7月16日

ドン・ジョヴァンニ・・・あれか - これか






先週土曜、渋谷のCD店で、チェザーレ・シエピが7月5日に亡くなったというコメントとともに彼のCDが数枚陳列されていた。

正直、シエピがつい最近まで存命であったとは思っていなかった。私の知るシエピはフルトヴェングラー指揮のモノクロの白タイツのドン・ジョヴァンニ。または、デッカのヨゼフ・クリップスのステレオ最初期のドン・ジヴァンニ。ともに1950年代の記録。 

チェザーレ・シエピ 享年87才。(合掌)

シエピといえばドン・ジョヴァンニ。ドン・ジョヴァンニといえばシエピ。十八番。はまり役であったわけである。しかし、今日こんにちのドン・ジョヴァンニは誰か。( ・・・ 思い浮かばない)

しかし、CDであれば歌で選んでも問題は無いから、シエピのように三拍子(歌、容姿、演技)揃う必要は無いのかもしれない。



モーツァルトのオペラで一つ採るとすると、「コシ・ファン・トゥッテ」や「フィガロの結婚」も大傑作ながら、客観的には、やはり「ドン・ジョヴァンニ」となる。しかし、しかしである。決定版とか完璧な演奏が見つからない。それでついついいろいろなCDを漁ることになる。

ということでタイトル・ロールで選んでみよう。

チェザーレ・シエピをもって嚆矢としたい。だがシエピのCDはクリップスの指揮が緩いのと録音がぼやけ気味なのが残念。
またフルトヴェングラーの映像は若きシエピのドン・ジョヴァンニが堪能できるが、モノクロームで音は悪い。

それで映像も音質も優れていて、三拍子揃っている歌手は・・。悪人面で地獄落ちにも相応しい容貌、しかもダンディ!。◎ルジェロ・ライモンディを推す。(CD、映画両方あり。映像はジョセフ・ロージー監督。演奏はCDと同じ。マゼール指揮。)

ドラマ・ジョコーゾとオペラ・ブッファの要素、悲劇と喜劇の要素。重く暗い部分と、そして明るく能天気な部分そしてお馬鹿さんなところ、少しエロティック(?)なところ・・・。全部味わえる演奏を求めてしまうから理想の一組が現れないのだと思う。

しかしタイトルロールと同等、あるいはそれ以上に大事な役は、レポレロとドンナ・エルヴィラだ。よってこれらの役で選ぶと充実した「ドン・ジョヴァンニ」が聴けると思う。(これについてはまた機会をあらためて。)




一つのオペラを様々な上演で体験したり、あるいは多くのCDやDVDで鑑賞することは難しい。時間と懐には限りがあるからである。
また体調の問題もある。かつてミュンヘンのガルトナープラッツの劇場でハンス・ドレバンツ指揮の「ドン・ジョヴァンニ」を観に行った時は体調不良で気分最悪。それでせっかくの本場でのオペラなのに序曲が終わってこれからという時に退席した記憶がある。この上演回数の多い人気オペラでさえ私の経験した実演はベルリン・シュターツオパーの公演1回だけ。総合芸術であるオペラでは指揮・歌手・オケ以外にも、舞台装置、演出、照明、衣装等々、様々な要素があるから演るほうも、観るほうも大変である。

よって本稿は私のごく限られた体験からの感想であって、また2-3ヶ月後には違うことを言っているかもしれない。最後に今の私が総合的に優れていると思うCDを選び、今回は終わる。





◎リッカルド・ムーティ・ウイーンフィル (EMI)  ①シメル ②ラミー ③スチューダー ④ヴァネッサ


◎ロリン・マゼール・パリオペラ座管 (SONY)  ①ライモンディ②ダム③モーザー④カナワ 


◎ヘルベルト・フォン・カラヤン・ベルリン・フィル (DGG)  ①ラミー②フルラネット③トモワ-シントウ④バルツァ


◎オットー・クレンペラー・フィルハーモニア管 (EMI)  ①ギャウロフ②ベリー③ワトソン④ルート ヴィッヒ


上記配役の登場人物:①ドン・ジョヴァンニ②レポレロ③ドンナ・アンナ④ドンナ・エルヴィラ  

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