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2010年5月16日

ヒラリー・ハーンの魅力

金沢は片町のスクランブル交差点にあった老舗レコード店「ヤマチク」はすでに倒産してしまった。店を閉じる少し前、在庫セールということで半額セールをやっていた。私は価格が低廉ということで輸入盤派なのであるが、半額となると断然国内盤も「買い」である。そこで何枚か購入した。その中の一枚がエルガーのヴァイオリン協奏曲。

初めてヒラリー・ ハーンのCDを聴いたのはそのエルガーであった。どうもエルガーというとすぐ、早逝した天才チェリスト、ジャクリーヌ・デュ・プレの弾いた鬼気迫るチェロ・コンチェルトを思い出すが、エルガーの曲はブラームスをもっとロマンチックでドラマチックにした滔滔たる大河小説的な趣きがあり、ギャルのような風貌の彼女で大丈夫かなと思ったものだ。(勝手な思い込みですみません)

だが、とてもイイのである。すごく上手いしね。次にモーツァルトのソナタやシベリウス、シェーンベルク、パガニーニ、シュポアのコンチェルトを聴いた。(以上グラモフォン録音)

すべて良し。それで過去にさかのぼりSONY時代の録音も聴こうと思ったわけ。ショスタコービッチとメンデルスゾーンを聴いたがこれも新鮮な驚き。とにかくはずれが無い。それどころか、この若さで最高と思われる演奏が多い。それで彼女のCDは残りも全部聴きたいと思っている。

調べてみると、彼女のデビュー録音は17歳の時のバッハの無伴奏。その後、ベートーベンやブラームス、お国もののバーバーなどSONYには5枚ほど録音している。後にグラモフォンに移籍することとなるのだが、先にあげたCDのほかにバッハのコンチェルトなどがあるようだ。 

彼女の魅力はテクニックが群を抜いていることと、知的なセンスを感じさせるということ。しかも演奏する曲は「この表現しかない」と感じさせること。シェーンベルクは頭脳明晰に演奏され、シベリウスは北欧の厳しい自然を感じるし、エルガーは静けさと荘厳さが表現され・・すなわち曲に応じて最適の表現が出来るヴァイオリニストであると思う。まだ30歳。この先どうなるのだろう・・・。




特に1枚をと言われればシェーンベルクとシベリウス。最高。
                                              
                                    

Arnold Schoenberg    Concerto for Violin and Orchestra

Jean Sibelius    Concerto for Violin and Orchestra

Hilary Hahn (violin)

Esa-Pekka Salonen
Swedish Radio Symphony Orchestra

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