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2010年5月15日

JAZZYな定期公演・山下洋輔そして一柳彗とガーシュイン

出張から金沢に帰った晩、当日券が買えたので山下洋輔初体験をした。

かつて、氏の著作は大変面白く読んだ記憶がある。そして私にとっての山下は音楽というより、筒井康隆やタモリなどを思い浮かべる存在であった。

たいした技とエネルギーだ。そして演奏終了後の仕草もエンターテナーだ。音楽には関係ないかもしれないが、クラシック奏者も学ぶところ大ではないか。お客さんを楽しませること、そして時に面食わせるところ。これがいい。(山下、筒井、タモリ。3人の天才の共通項でもある。)


プログラム冊子の解説によると山下が初演した一柳のピアノ協奏曲の楽譜に「violent adlib ffff」 と指示があるという。これはフィナーレの前のカデンツァといったところだろうが、山下の持ち味を思う存分に誘発させる場面であり、そしてその指示どおりの凶暴性をおびた4つのfが鳴り響くのであった。山下は60歳台後半だと思うのだが、どこにそのむちゃくちゃなエネルギーを蓄えているのだ?失礼かもしれないが音楽家というより格闘家だ。


さて今夜のプログラムは私にとってガーシュイン以外は初めて聴くものであったが大変興味深いものであった。

コンサート開始前の解説はおなじみの池辺晋一郎。また一柳彗への簡単なインタビューも。余談ながらここで明らかにされたのが一柳の卓球の腕前。当日もOEKの専務理事の山腰 茂樹(中学では卓球部所属)と長時間にわたり卓球をしてたという話。作曲家にして卓球選手。

プログラム前半は岩城宏之の追悼のために書かれた一柳彗の交響曲第7番「イシカワ・パラフレーズ」、そしてと山下洋輔が登場しての「ラプソディー・イン・ブルー」。後半は一柳彗の2曲。オペラ「愛の白夜」からワルツ、メインはピアノ協奏曲第4番「JAZZ」。

昨日は藤岡幸男指揮オーケストラアンサンブル金沢の定期演奏会だったのだが、山下洋輔の演奏会になってしまったようだ。ところが思うに、現代音楽を多くの人に聴いてもらうためには役者が重要であるということであり、その役者が登場したということである。それと一柳のそれぞれの曲のネーミングも同じ意味で良かったのではと思っている。オペラ「愛の白夜」など興味そそるでしょう。

最後にガーシュインについて。山下の凶暴性を帯びたピアノがやはり印象的であった。ブルーではない真っ赤なラプソディー。


一柳 彗 交響曲第7番 「イシカワ・パラフレーズ」 ~岩城宏之の追憶に~
ジョージ・ガーシュイン 「ラプソディー・イン・ブルー」

一柳 彗 オペラ「愛の白夜」から「ワルツ」
一柳 彗 ピアノ協奏曲第4番 「JAZZ」

藤岡 幸男指揮 オーケストラ・アンサンブル金沢
ピアノ独奏 山下 洋輔

2 件のコメント:

  1. 私も昨夜のOEKを聴いてた観客の一人です。 山下洋輔氏が本当に素晴らしかった!

    普段、ジャスはあまり聴かないので良くはわかりませんが、彼の放つパワー、エネルギッシュな演奏には圧倒されました。
    アンコールの即興のかっこいコト事と言ったらもうないですね。OEKと「コレをやっちゃうの!?!」って感じです。


    観客を魅了しOEKメンバーを魅了し、ご自身もその時を楽しんでいるご様子。昨夜のコンサートは本当に良かった。
    junさんの「真っ赤なラプソディー」の表現はまさにその通り!と思います。

    ジャズにしびれ、音楽に酔った夜でした♪♪♪


    寿司友こと、雅

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  2. こんど山下洋輔さんのピアノをさかなに一杯やりましょ。

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