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2010年4月13日

精神性と美学をあわせ持ったチェロ

演奏会場の音響は演奏に大きな影響をあたえる。チェロの演奏は特に良いホールが必要であると思う。
津田ホールで聴いた金木博幸チェロリサイタルは前回1月に東京都民教会で聴いた時と印象が違った。プログラム曲目、ドビュッシーのソナタとバッハ無伴奏組曲3番(都民教会は抜粋)とアンコールの白鳥は重複しているが、このリサイタルはチェロが特に豊かに鳴りきっていた。ホールの違いと思うのだが。バッハは私の愛聴するジャンドロンのように軽やかで流麗ではないが金木博幸の師匠であるナヴァラに近い精神性の高い演奏。一方ベートーヴェンは清水和音との共演。熱くしかし爽やかさも表現していて好演。休憩をはさんでのドビュッシーは特に秀逸。曲の持つ深み、美しさがよく伝わってきた。ショパンのソナタは晩年の聴き応えのある曲である。これも熱演であったと思う。
金木博幸と清水和音とは桐朋の同級。円熟へ向かう、ともに49才の二人の音楽家の聴き応えのある共演であった。

バッハ 無伴奏チェロ組曲第3番
ベートーヴェン チェロソナタ第3番
ドビュッシー チェロソナタ
ショパン チェロソナタ

アンコール ①ラフマニノフ ヴォカリーズ ②サン・サーンス 動物の謝肉祭から、「白鳥」

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