パヴァロッティ、ドミンゴ、カレラス。この三人が何故一緒にコンサートをしたのか。カレラスの不治の病からの生還を友人のパヴァロッティとドミンゴが祝福するということが端緒ということだが、三人揃うことに関して言えば、音楽的には全く意義を見い出せない。
私はパヴァロッティの輝かしいがあまりにイタオペらしい少し軽薄な声が好きではなかった。むしろドミンゴやカレラスの格調のある声が好きだ。パヴァロッティはスカラ座で「愛の妙薬」を聴いたことがあったが、その時もミラノの聴衆を大興奮させてはいたが私にはピンとこなかった。カレラスはNHKホールでのイタリアオペラ公演で聴いた。こちらは大変素晴らしかった。(アドリアーナ・ルクブルール)
記憶を辿れば、CDでは一番親しんでいたドミンゴのナマは先日のNHKホールが初めてである。貴重なチケットを頂戴していなければ一生ドミンゴのライヴを聴かずに私は死んだ筈である。
もっとも先日の ドミンゴ体験はパヴァロッティやカレラスのナマに遅れること30年以上!!三人のうちで一番若いカレラスのマウリツォを聴いたのが1976年、カレラス30才。
現在パヴァロッティはすでに鬼籍に入り、ドミンゴより5歳若いカレラスもオペラは引退している。ドミンゴは今回の来日の直前は「アンドレア・シェニエ」に登場していたという。ドミンゴのみがいまだ現役ということか。
ともあれ「三大テノールの時代」はとうに終わったのであるが、その後の彼らに続くスターは出そうにない。
ドミンゴ一人のしかも歌手人生も最後のほうであれだけのパフォーマンスであったことを思えば絶頂期の三人がお互いを意識しながらの競演となれば凄まじい光景が予想されるというものだ。三大テノールの競演は世紀の大イヴェントであったには違いない。
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