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2011年12月8日

アラウのベートーヴェンを聴く




技術に任せて激しく、強く演奏すれば良いと言うことでもない。先日、リヒテルのベートーヴェンに賛辞を述べたところであるが、久しぶりにクラウディオ・アラウの1984年録音の「ワルトシュタイン」と作品109のCDを聴いて、これもやはり素晴らしいなと思った。ワルトシュタインなどは、テクニックのある奏者がテクニックを誇示するような、そんな見せ場が多くあるような曲であるが、アラウの優しさ、味わいのある演奏も良い。アラウ二度目の全曲録音はテクニックが衰えているとかの評もあるらしいが、これはこれで必要にして十分。しかもピアノの音が良い音で収録されている。そうだケンプもこのくらいの音質でベヒシュタインの音を残してくれたならば良かったのに。

アラウ81才、スイス、ラ・ショー・ド・フォンでの録音。自然体で、淡々としかし、じっくり深く表現するのは、やはり経験の重みがなせる技ということだろう。武骨であるが一音一音がキラリと立っているので美しく感じる。コリン・デイヴィスとドレスデンとの評判のコンチェルトは少々衰えが感じられ、まどろっこしく感心しなかったが。こちらの一枚は手元に残しておこう。


Claudio Arrau (1903-1991)


Beethoven Sonata No.21 Op.53
        Andante favori,WoO57
        Sonata No.30 Op.109 










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