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2011年12月19日

ハチャトゥリアンのマリンバ協奏曲


安江佐和子さんのマリンバによるハチャトゥリアンのヴァイオリン協奏曲を聴いたのは2010年の1月だから2年近く前。その時は第3楽章のみ。私はその演奏についての感想をブログに次のように記している。

アラム・ハチャトゥリアンのヴァイオリン協奏曲の第3楽章はいきなり猛スピードで駆け抜けた。
感動で目頭が熱くなった。凄すぎる。

いつか安江さんの演奏で全曲を聴いてみたいと思った。オーケストラの伴奏で。

(中略)
コンサートから帰って、ハチャトゥリアンの原曲を聴いてみようと思ったのはその原曲の素晴らしさの 確認をしようと思ったためではなく、安江さんが解説の中で、「全曲通して聴くと3楽章のなかに1楽章のメロディーが再び現れより感動する」というようなことを言われたからで、本当にしばらくぶりにオイストラフのCDを取り出し、全曲を通して聴いたのだ。

確認できたのはこの曲はたしかに名曲ではあるがヴァイオリン独奏の必然性は無い。ということ。私はアルメニアに行った事も無いし、アルメニア民謡もよく知らない。だが、この曲が必要としている「熱さ」「圧倒的なリズム感」「郷愁、懐かしさ」が十二分に安江さんによって表現されたということであって、楽器云々を越えた、安江佐和子にしかできない「凄さ」があったということ。

しかしその凄さに腰を抜かしている場合では無かった(後略)


そう、2年前に思った私の「夢」の一部、ハチャトゥリアンを全曲を通して聴くことが、今日叶ったのである。安江さんの話では中学生の時にすでにこの難曲の全曲演奏を果たしているとのことであるが、今日はそれ以来なのだろうか。


安江さんは「この曲はやっぱりヴァイオリンの曲」と言う。たしかに1、2楽章は歌う部分が多くあって特にメランコリーな部分はヴァイオリンに分がある。とはいえ、「叩く」ということではマリンバがヴァイオリンを圧倒するので、安江さんのような爆裂型の凄絶な演奏をすればマリンバが勝つことができるのである。だから2年前の私の感想はいささかも変わらないし、あの時の感動を今日再び味わうことが出来たのである。


ただ私のもうひとつの「夢」である「オーケストラの伴奏で」という希望は今のところ保留としよう。何故なら今日のピアノとのデュオで十分素晴らしかったからである。竹花千景さん。初めてかしら。どこかで聴いている気もする方なのだが。安江さんと良く息が合っていたし、とても良かった。今後も注目したいと思う。


本日はとても小さいホール、というよりはスタジオのような感じのインティメートな感じの会場であったから始まる前は気楽なコンサートと思ったのであったが、いきなり杉山氏の新作からして緊張させられ、演奏会後半はこのハチャトゥリアンである。しかしこの2曲以外は、なんともクリスマスの雰囲気で楽しいひと時。いつも思うのだが、打楽器とマリンバのコンサートで聴き終えたあとに充実感や感動をもたらすのはなかなか難しいことだと思うのだが、安江さんのコンサート、演奏の素晴らしさに加えて、選曲とプログラムの組み立てが素晴らしい。今年はいろいろ大変な一年であったけれど最後にまた一つ、素晴らしい演奏会に出会えたことに感謝しよう。







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