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2012年4月5日
フィレンツェの悲劇 ツェムリンスキーとワイルド
アレクサンダー・ツェムリンスキーの50分ほどのオペラ。オスカー・ワイルドの原作をもとに書かれた作品。世紀末文学であり世紀末音楽である。ワイルドといえばR.シュトラウスの「サロメ」がすぐ浮かぶが、この作品は「サロメ」をツェムリンスキーがオペラ化しようと考えていたところ、シュトラウスに先をこされてしまい、ツェムりンスキーはそれではと、ワイルドの別の作品を歌劇にしたのだ。
先月新国立劇場での新国立劇場オペラ研修所公演を見て思ったのだが、ツェムリンスキーはもっともっと聴かれるべき作曲家であり、またこの作品も同系統の音楽として「サロメ」と比べても劣ってはいない。シェーンべルクもこの作品をウィーンで観て素晴らしい作品と評している。
登場人物は3人。簡単に内容を言えば、妻と妻の不倫相手と妻の亭主との三人の不倫関係と殺戮の話。不倫相手の王子と商人である夫との対決。そして三者の血なまぐさい悲劇というところである。暗くしかし絢爛な管弦楽にソプラノ、テノール、バリトンが絡み合う。世紀末の音楽である。この時代の音楽、文学、絵画は重く、暗く、エロスの香り。
取り上げにくい作品を、しかも水準を保ちながら上演することは大変なことであると思う。特にこういう作品は。
「スペインの時」とのダブルビル公演で、3月9日、10日、11日の3日間の公演であったが、私が観たのは11日の公演。
ビアンカ 立川清子 S
バルディ 伊藤達人 T
シモーネ 山田大智 Br
演出 三浦安浩
指揮 飯森 泰次郎
管弦楽 東京シティフィル
参考CD
Doris Soffel (Ms)、Kenneth Riegel (T)、Guillermo Sarabia(Br)
Gerd Albrecht (cond.) Radio-Symphonie-Orchester Berlin
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