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2012年4月26日

ロレインの歌を聴かなければいけない


ブルックナーは聴いていて疲れる。

疲れている時に聴く音楽じゃない。

といっても聴きながらブルックナーの記事を書いているわけではない。

過去の演奏を思い出すにつけ疲れるので、少し違う音楽を聴きたいなと思う。



なにか美しい曲を人間の美しい声で聴いていると、いいな、と思うと同時に人の一生のはかなさ、諸行無常を思うのである。

過去より、大手レコード会社が売り出したり、有名歌劇場で華々しくデビューしたりしない限りなかなか有名にはならず、話題にもあまりならず、ゆえに私たちの視野にも入らず永遠に聴く機会を持たず、彼たち彼女たちに出会うことなく生涯を終えるということがそれはそれは残念であろうと。


だから素晴らしい演奏は一人でも多くの人に聴いてもらいたい、そして他者とその良さを共有し、良いものを永遠のものとさせたい。という気持ち。


前置きが長くなったが、聴いたことのある人はわかると思うのだが、6年前に病で早世した、メゾのロレイン・ハント・リバーソンの歌を聴こう。無名どころか、ヘンデルやパーセルなどのオペラでの彼女は評判が高かったのだが、じっくり彼女の声を聴くにはうってつけのリサイタル盤があるのだから聴かなければならない。

一枚は1998年10月の、そしてもう一枚は1999年10月のウィグモアホー
ルでのリサイタル録音。


前者はマーラーのリュッケルトの歌、ヘンデルのアリア、ご主人のピーター・
リバーソンの曲など。後者は「女と愛と生涯」を中心にした、ブラームス、シュ
ーマンのリート。ともにBBCによるライブ録音。


しみじみと気品ある美しい歌に静かに耳をかたむけよう。しずかな感動が得
られるはずである。






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