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2012年5月26日

グレン・グールドのゴルトベルク変奏曲


あまりに有名すぎる演奏なので触れるのもどうかと思ったのだが。
私はグールドが特に好きなピアニストではなく、むしろどの演奏もあまりありがたいと思わないのだ。しかしこの録音だけは大好きということで書かせてもらう。

どういうわけかバッハの名曲のうち「平均率」のほうは、リヒテル、アファナシェフ、ヒューイット、クロシェなどいろいろ所持しているのだが、「ゴルトベルク」だけは現在グールドの2種だけ。理由はグールドの演奏に十分満足しているから。1枚だけ残すとしたら、1955年のグールドのデビュー盤も良いが、それとは対照的にタップリしたテンポで奥行のある表現、そして見事なピアノの音質で新盤となる。まあ新旧ともにグールドにしかなしえない変わった演奏ではある。

この録音がなされた翌年グールドは急死する。ほとんど再録音をしなかったグールドが多分初めて二度目の録音をしたのが、このゴルトベルク変奏曲であり、しかも圧倒的に凄い演奏であったのだから、グールドの夭折は本当に残念でならないと思ったものだ。

一般的にグールドと言えばゴルトベルク、ゴルトベルクといえばグールドというほどの、またグールドファンにとっては神格化された録音であるが、静かな夜に耳を傾けるに相応しい音楽ではないだろうか。

入念に準備されたであろうグールドの解釈は、くっきりとしたヤマハの音と例のグールドの唸り声とともに聴き手の感性に深く訴える。




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