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2010年6月3日

躁鬱、二重人格、投身自殺、そして文学と音楽

ロベルト・シューマンは独逸浪漫派作曲家の中に於いて最も文学との関りが強い作曲家である。
いや音楽史上で最も文学的な作曲家と言えるのではないか。単に文学との繋がりならば、ベートーヴェンとシラー。シューベルトとゲーテ、ミューラー、ハイネ。リストとダンテ、ワーグナーとヴェーゼンドンク、マーラーと李白、ヘルダーリン。R.シュトラウスとニーチェなどが簡単に思い浮かぶ。

多分これ等は単純に歌曲や楽曲の主題乃至歌詞をそれら作家や詩人から得て作曲家たちは作曲しているのであって、シューマンの最も文学的といわれる所以は自ら執筆して音楽批評をおこなったことである。「音楽と音楽家」や雑誌「音楽批批評」への投稿などが有名。今日わが国では文学に直結した音楽批評は小林秀雄、吉田秀和あたりが有名であるが、独逸浪漫派の時代にあってはシューマンが文学的音楽批評の先駆けであったのだ。

そしてシューマンの精神疾患によるライン河への投身自殺(未遂)は、娼婦からうつされた梅毒に起因したという事実。妻クララの存在。このことだけでも十分文学的である。そして文学と音楽との関係は・・。

シューマンの音楽も十分文学的である。以前ハイネの詩による「詩人の恋」について書いたが、歌曲(詩人の恋、リーダークライス)といくつかのピアノ独奏曲。(クライスレリアーナ、森の情景、謝肉祭など)そして、アイルランドの詩人トマス・ムーアによるところのオラトリオ「楽園とぺリ」はあまり聴く機会は無いのだが素晴らしい音楽である。

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