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2010年9月8日

世界のオザワ

今年は75歳の記念で小澤征爾のCD、DVDがまとめてリリースされているようだ。
また先日はテレビのニュースで食道癌手術後のサイトウキネンフェステイヴァルでの復帰の模様が流れていた。まだ全快ではなかったのかもしれない。チャイコフスキーの弦楽セレナーデの第一楽章のみ。腰痛のためコンサート全体の指揮は無理ということであった。

そのコンサート(プログラムは、「ノーヴェンバーステップス」「幻想交響曲」)は代役の指揮者によって演奏がおこなわれたようである。聴きに行くことが出来なかった、というわけでもないのだが幻想交響曲を聴きながらこの記事を書いている。1966年小澤征爾31歳の録音。トロント交響楽団を指揮した小澤のシンフォニー初録音である。44年前の録音を聴いて昔から小澤は今もほとんど変わっていないなぁ、ということを感じる。一言で表すと「明晰な演奏」。溌剌としており影や曇ったところがまったくない。(蛇足ながら武満のほうも67年録音のトロント響との名盤がある)

もしもその9月5日にサイトウキネンを小澤が全部指揮していたら多分同じような演奏をしていたに違いない。オザワは進歩していないといっているのではない。トロント交響楽団の指揮者になった30歳にしてすでに完成していたというべきだ。

しかし、さすがにベルリオーズが持つ狂気とか暗さとかは不足気味であると思うので、この頃の録音ではシカゴ響を指揮したブリテンの「青少年のための管弦楽入門」や「展覧会の絵」が断然オススメ。やはりオーケストラの上手さもあるが、名門オーケストラをドライブしきっている。

50年近く前、小澤征爾の登場と活躍はわれわれ日本人に大きな興奮と高揚感を感じさせてくれたものだった。そしてその後も順調に、トロント響、サンフランシスコ響、ボストン響、ウィーン国立歌劇場と世界を股にかけどんどん階段を昇り続けた。

オペラは経験が少ないうちにウィーンの監督になってしまったというようなことが言われたりしたが、わたしの記憶をたどってみると70年代に二期会と新日本フィルで「ボリス・ゴドゥノフ」を観た記憶があるし、同じ頃のパリのオペラ座での「トスカ」などもヴィデオテープで楽しんだものだ。

ともかくオザワはオザワである。また溌剌として、美しい演奏を聴かせて欲しいものだ。

2 件のコメント:

  1. 幻想、武満のプログラム
    10月15日NHK放送予定とのことです。
    指揮者と打楽器奏者が代役です(^^)

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  2. このたびはいろいろとお疲れ様でした。
    また、情報ありがとうございます。楽しみです。

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