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2011年11月1日

オーケストラを聴く醍醐味・メッツマッハーと新日フィル


ラファエル・クーべリックがパリ管弦楽団を指揮した田園交響曲。この演奏の木管、ホルン、弦楽器のソノリティは何なんだろう。全体的に暖色系のトーンでまるで初春の柔らかな陽光の中で風景を見るかのような演奏。しかし各楽器のパートはハッキリ聴き取れる。このたっぷり美しい田園はこの全集の白眉である。

交響曲全集〈イタリア盤)
 













この美しい演奏を聴いていて、何故か先日の新日フィルの演奏会を思い出した。あの日演奏された、シェーンベルクもブラームスも、オーケストラの美しさが際立っていた。




むかし学生で暇があったが金はあまり無かった頃、是非これは聴かねばというオーケストラの演奏会のチケットをもとめる時、初日が良いか、二日目が良いかまで考えていたことを思い出した。某オケは初日は緊張感があって良い が、慣れてくる二日目は手を抜くこともありあまり良くないから初日に行くべきとか一応考えたわけである。演奏するほうも毎回レコードのように同じ演奏が出来るわけはないし、また聴く方もその日の体調気分などもう条件は違うのだからあまりどうこう言う問題ではないのだが。私が数年間住んだ某地方都市のオーケストラの場合、定期演奏会のプログラムは一回だけなので二日目は無い。でもあまり緊張感のある演奏会に出くわしたことはなかった。しかし音楽はゆるくてもそれなりに楽しむことはできたのだが。以上のことも思い出した。



生で聴くということはまさしく一期一会。生まれそして消えゆく瞬間を楽しむわけである。固唾を呑んで、その瞬間、緊張感のある見事なアンサンブルが良い音響で響けば感動もひとしお。それはなかなか叶うものではないのだけれど新日フィルとメッツマッハーはそれを達成できる組み合わせであると思う。先日の新日本フィルハーモニー交響楽団のトリフォ二ーホールでの定期は初日の日に足を運んだが、メッツマッハーの演奏会はほぼ一年ぶり。昨年の定期のハルトマンとチャイコフスキーの6番の名演以来。そのコンサートがあまりにも素晴らしかったので一年前から期待して待ったコンサートであった。どう考えてもこの指揮者とNJPとの相性は良い。一曲目バッハ・シェーンベルグの「聖アン」のフーガ部分。この木管のアンサンブルは最高。二曲目のシェーンべルグ、管弦楽のための変奏曲も見事。ブラームスは個性的な演奏で北ドイツ風の渋さはなかったものの第一、第四楽章の輝かしく力強い表現、中間楽章の丁寧に彫琢された美しさは聴きものであった。そして特筆すべきはパリ管のそれに匹敵するような木管楽器群の巧みさ。











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