ミュンヘン出身のサヴァリッシュが2月に亡くなって何か書こうと思っていたのだが今になってしまった。彼の訃報に接する数日前、私は台北のCDショップでバイエルン国立管を振ったブルックナーの第5交響曲を購入した。名演である。
日本ではしばしばN響を振り非常に知られた指揮者ではあったが音楽が知的に整理されすぎて熱狂からは距離がある指揮者という印象であって、巨匠と呼ばれることは無かったように思う。
しかしながら彼の本領はオペラで発揮されたし、本拠地のミュンヘンでの活動において名演を多く達成していたように思われる。彼がミュンヘンのオペラと残した録音はどれも素晴らしい。影のない女、マイスタージンガーなど超弩級の名盤。
私はミュンヘンでカール・ベームが振るフィデリオを観るために劇場に行ったのだが、指揮がベームではなくサヴァリッシュに変更になっていてがっかりした。しかしキング、ベーレンスの熱唱とともに老体のベームでは体験できないであろうきりりと引き締まった一分の隙もない極めて緊張感の高い演奏は稀にみる大きな感動をもたらしてくれた。終演後はベームの病気に心から感謝したものだ。
かつてはドンジョバンニなど、海賊盤ではあったが、ミュンヘンでの上演ライブが発売されていたこともある。当時の多くのオペラのライブが登場することを願うものである。
Wolfgang Sawallisch、 2013年2月22日ミュンヘンで没、享年89歳
1990年12月のオランダ人を見に行きました。
返信削除会場全体が開演前から凄まじい熱気に包まれていたのを覚えています。
オランダ人はヴァルクルでした。
コメントありがとうございます。やはりオペラは本拠地で観てしまいますとなかなか引っ越し公演に行く気にはなりませんね。最高のぜいたくですが。
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