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2013年6月23日

ダニエル・ハーディングのマーラー「悲劇的」




2013年6月21日(金)、新日本フィルハーモニー交響楽団定期。クールで熱いマーラーを堪能した。

昨年の同じく新日本フィルとのマーラーの5番はスマート過ぎて今ひとつ感銘が薄かったのだが今回の6番は違った。クールな路線はいつものハーディングであるが今回の演奏には何かが加わっていた。

快適なテンポの第一楽章は情念はあまり感じられないが各楽器を丁寧に鳴らしたスタイリッシュなアレグロ・マ・ノントロッポ。次に置かれた第二楽章(アンダンテ・モデラート)ではよく練磨された弦と美しい音色のホルン!とでほんとうに美しいアンダンテ・モデラート。第三楽章スケルツォは重くは無いが諧謔性十分。そして壮大に構築されたフィナーレ。

この曲に濃密な情念を求める向きには物足りなさが残るかもしれないが、ハーディングの演奏はテンポや歌わせ方で聴衆をねじ伏せる演奏では全く無い。しかし恐らくマーラーの書いた音符を忠実にまた着実に音にすることによってその曲の持つ全てをきちんと表現し尽くしているものと思われる。マーラーの演奏では私が愛してやまないベルナルト・ハイティンクのマーラーに通ずるところがある。楽曲を楽譜に忠実に誇張無しにバランスを保ちながらオケの実力で構築してゆくスタイル。

ハイティンクの場合コンセルトへボウ(あるいはベルリンフィル等々)という超優秀なオケがあってこそ成しえたということを考えれば、同じ意味で新日本フィルのパフォーマンスの高さを賞賛しなければならない。最近評判の良いと言われる読売日本交響楽団を立て続けて聴いたばかりであるが私の好みは新日フィルである。(ついでに言えば感動しなかった公演のことはこのブログでは取り上げないことにしている)

当日のオーケストラの出来はというと、木管群はいつものことながら超優秀。弦楽器も高水準でトータルでやはり素晴らしいのひとこと。ただ一部ホルンにミスが散見された。8名の奏者を揃えることが大変だということか。

あとですね、これは故意なのかどうか、例の終楽章のハンマーの一撃が二回とも若干早すぎたように聞こえたのですが。間違っていたらすみません。


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